サステナビリティ開示義務化へ向けSSBJ基準の適用対象などを示す内閣府令改正案を公表、パブコメ実施 金融庁
金融庁は11月26日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正案を公表し、パブリックコメントを開始しました。今回の改正案は、サステナビリティ開示基準の適用に向けた環境整備や、人的資本開示に関する制度見直しなどが主な内容となっています。
サステナビリティ情報の開示については、東京証券取引所プライム市場に上場する企業のうち、平均時価総額(※1)が1兆円以上の企業に対し、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が公表したサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)に基づく開示を義務付けるとしています。
また、SSBJ基準の適用に伴い、基準上開示が求められる事項に加え、基準に準拠している旨や二段階開示など経過措置の適用状況についても記載を求めるとしました。適用時期は事業規模によって異なり、平均時価総額(※2)3兆円以上の企業は2027年3月31日以後に終了する事業年度から、1兆円以上3兆円未満の企業は2028年3月31日以後に終了する事業年度からと段階的になっています。SSBJ基準の適用開始年度とその翌年度については、サステナビリティ関連記載事項の記載を省略し、翌期の半期報告書で開示を行う「二段階開示」を可能とする旨も記載しています。
※1:毎事業年度ごとに更新される「直近5事業年度末」の平均時価総額により判定するもの
※2:2026年3月31日を基準とした「5事業年度末」の平均時価総額により算定するもの
また、Scope3温室効果ガス排出量の定量情報に関しては、社内の開示手続などに関する記載がされている場合には、虚偽記載等の責任を負うものではないとする「セーフハーバー・ルール」の考え方を明示しました。
人的資本開示においては、開示拡充を目的として、企業戦略と関連付けた人材戦略およびそれを踏まえた従業員給与などの決定方針や従業員の平均給与の対前年比増減率を新たに有価証券報告書にて開示することを求めるとしています。提出会社が持株会社の場合には、連結会社のうち従業員数が最も多い「最大人員会社」の平均給与額なども開示が必要となります。
このほか、総会前開示への対応などの改正事項も示しました。本改正案に対するパブリックコメントは郵便またはインターネットにて受け付けており、2025年12月26日17時まで募集となっています。