富士山噴火に備え9年ぶりに改定した避難計画を公表、現行ハザードマップへ対応 富士山火山防災対策協議会
掲載:2023年03月31日
リスクマネジメント速報
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2021年の富士山ハザードマップ改訂を踏まえて避難計画の見直しを進めていた富士山火山防災対策協議会は3月29日、9年ぶりに改定した避難計画を公表しました。2022年の中間報告で示した通り、溶岩流では原則として住民は徒歩避難とするほか、降灰であれば自宅など屋内退避を原則とすること、火山災害計画地域内にある隣接市町村への避難も採用することなどが盛り込まれました。
改定では、安全な地域まで短時間で避難することを最優先にしながら同時に経済活動や暮らしも守るため、避難計画の位置づけと名称▽噴火現象ごとの特性に基づく避難対象エリアの区分▽移動手段および避難開始時期▽観光客の帰宅時期▽広域避難先――の5点を見直しました。
まず、従来の「富士山火山広域避難計画」を「富士山火山避難基本計画」へと名称を変更し、位置づけを基本指針としました。3県27市町村にまたがる対象区域においては、画一的な対応では実効性を担保できないためです。改定では新たに噴火シナリオも盛り込まれ、各自治体はそれらを参考に地域特性を考慮した地域防災計画を策定します。
次に、避難対象エリアは従来の5区分から6区分へと見直されました。時間的猶予のない現象(大きな噴石や火砕流など)は噴火前の避難とする一方、その他の現象(降灰や小さな噴石、溶岩流など)は原則として噴火後の避難としました。
「逃げ遅れゼロ」の実現のため、渋滞を発生させない体制として車両での避難は避難行動要支援者を優先すると明記しました。観光客についても避難行動要支援者の避難と重ならないよう、噴火警戒レベル3での帰宅を呼び掛けるよう設定しました。
このほか、現行の富士山ハザードマップでは、被害想定区域が市街地まで広がったため、幼稚園・保育園・学校における避難対策を新設するとともに、噴火警戒レベル1~3の早い段階での自主的な避難を促す方針なども盛り込まれました。
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