リスク管理Naviリスクマネジメントの情報サイト

「AIと著作権に関する考え方について」(文化審議会著作権分科会・法制度小委員会)の要点を明快に示した概要版を公表 文化庁

掲載:2024年05月14日

リスクマネジメント速報

         
目次

文化庁はこのほど、文化審議会の著作権分科会・法制度小委員会が3月15日付けで取りまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(全45ページ)の内容を簡潔にまとめた文書(概要版、全18ページ)を公開しました。「AIと著作権に関する考え方について」は素案が昨年12月に公開され、今年1月23日~2月12日までの意見公募を踏まえて取りまとめられたものです。なお、3月19日に開催された文化審議会・著作権分科会では、権利者やAI開発事業者、AIサービス提供事業者など当事者が意見交換する場として新たに「AIと著作権に関する関係者ネットワーク(仮称)」を設置することが示されました。

「AIと著作権に関する考え方」は同小委員会としての考え方を示したものです。同小員会は2023年7月から全7回にわたってAIと著作権について議論しました。背景には、AIと著作権の関係を直接的に扱った判例や裁判例が乏しいなか、AIと著作権法との関係をどのように考えればよいか明確でないとする懸念の声が上がっていたことがあります。懸念の解消を求めるニーズに応える形で、同小委員会は現行の著作権法がAIとの関係でどのように適用されるかに関して一定の考え方を示しました。

まず、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」では、行われている著作物の利用行為が異なり、関係する著作権法の条文も異なるとして、両者は分けて考え方が示されています。例えばAI開発・学習段階では、著作権法第30条の4の解釈を説明しています。具体的には、享受目的が併存している場合は第30条の4は適用されないなどと記されています。第30条の4は大まかに言うと、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できるとした、著作権を制限する内容です。享受とは、例えば音楽や映画であれば鑑賞すること、文章やプログラムであればそれぞれ閲読、実行することが該当します。また、AI生成物が著作物と認められるかという点についても著作物性の判断要素の例を挙げて示しています。

おすすめ記事