非財務情報の開示が進む、第31回「IR活動の実態調査」結果を公表 日本IR協議会
掲載:2024年05月24日
リスクマネジメント速報
目次
日本IR協議会は5月15日、第31回となる「IR活動の実態調査」の結果をまとめ、公表しました。同協議会会員のみならず2024年1月現在の全株式上場会社4,088社を対象にした調査であり、1,039社から回答を得ました(回収率25.4%)。同協議会では調査結果を踏まえ、上場企業のIRへの意識の高まりと非財務情報開示が進んだと評価しました。非財務資本関連のKPI(成果指標) についても今回調査では策定済み企業の割合が59.8%となり、非策定企業を上回りました。
調査結果によると、IR活動と連動させてESGなどの非財務情報の開示を実施している企業は73.5%であり、昨年68.5%、一昨年61.2%に続き増加傾向となりました。IR関連情報を社内収集する際の対象を尋ねた設問においても「サステナビリティ部門」と回答した割合は前回調査(=2022年)と比べて10ポイント以上増加、およそ5割となりました。
コーポレートガバナンスコード(CGコード)への対応では、気候変動開示について対応が進みました。例えば、プライム市場上場企業を対象とした設問では、「TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実」と回答した割合は60.2%であり、昨年に比べ15.9ポイント増、一昨年に比べて35.4ポイント増となりました。
今回調査では初めて生成AIの使用について尋ねました。IR部門でのルールやガイドラインの策定に関しては「策定されていない」とする回答が53.3%、「IR部門では策定されていないが、会社全体でのガイドラインが策定されている」が32.1%でした。また、プライム市場では英文開示が2025年4月から義務化されますが、生成AIを「英文開示資料の作成(翻訳など)」で使用している(トライアルしている)とした割合は16.0%でした。
実態調査の詳細は日本IR協議会の公式サイトから確認できます。
おすすめ記事
- コーポレートガバナンス・コード (2021年改訂対応)
- 事業活動およびサプライチェーンにおける強制労働のリスクに対処するためのEU企業のデュー・ディリジェンスに関するガイダンス
- 人権デュー・ディリジェンス(人権DD)
- 経営者のリスクマネジメント姿勢が企業価値にダイレクトに反映されていく理由と企業に求められる取り組みとは
- 「ESGリスクに関わるガイダンス」をERMに適用するには
- ESG
- サステナビリティ
- TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
- 民間企業の方のための気候変動適応ガイド
- 日本版のサステナビリティ開示基準の草案を公表、金融審議会ではSSBJ基準の適用義務化に向けて検討開始 SSBJ/金融庁
- サステナビリティ情報の開示と保証のあり方を検討するためのWG設置へ、金融審議会資料を公表 金融庁
- 企業に求められる人権尊重責任を解説、「生命保険会社における人権対応ハンドブック」を公表 生命保険協会
- 環境マネジメントシステムを活用した環境DD(デュー・ディリジェンス)の手引書を作成 環境省
- 投資行動に直接的に影響を与えると示唆、海外投資家向けに実施した英文開示に関する調査結果を公表 東証
- 「英文開示実践ハンドブック」を公表、機械翻訳や外注に関するノウハウも紹介 東証
- 「サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄」(SX銘柄)の募集要領などを公表 経産省
- 「コーポレートガバナンス・コード」(企業統治指針)の改訂案を公表 金融庁・東証
- 将来は1つの法定開示書類に集約へ、懇談会が中間報告とりまとめ 経産省
- コーポレートガバナンス改革の「実践」に向けた意見書「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」を公表 金融庁
- TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)