国土交通省はこのほど、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて「道路分野の脱炭素化政策集Ver.1.0」(以下、政策集)をとりまとめ、公表しました。4つの基本的な政策の柱に沿って取り組みの目標やロードマップを示しています。
国土交通省の資料によると、道路工事などの道路整備と道路管理、道路利用における二酸化炭素排出量は年間1.8億トンとなり、国内の総排出量の18%を占めています(2022年度)。1.8億トンのうち、大部分を占めるのは道路を通行する自動車からの排出を含む道路利用となっています(約1億6,500万トン)。
こうした状況を踏まえ、国土交通省は2023年9月、「道路におけるカーボンニュートラル推進戦略中間とりまとめ」を策定しました。そこでは、2050年カーボンニュートラルを実現するため4つの柱(▽道路交通の適正化▽低炭素な人流・物流への転換▽道路交通のグリーン化▽道路のライフサイクル全体の低炭素化)で取り組むと示しました。今般公開された政策集はこうした内容を踏まえて数値目標、施策の具体化、ロードマップを示したものとなります。また、国と高速会社、自治体、民間企業との協働による重点プロジェクトも6つ掲げました(※)。
政策集では2030年度目標として主な指標11項目を記しています。例えば、道路管理車両を100%電動車にする、トンネル照明など道路照明を100%LEDにする、道路施設(トンネル換気設備や表示板、道の駅など)で使う電気を再生可能エネルギーにする(電力調達割合60%)といったものです。再生可能エネルギーの活用については、電力調達時の入札要件とすることや太陽光発電設備の設置によって推進します。特に、ペロブスカイト太陽電池について積極的な活用を検討すると記しました。エネルギーを地産地消することで地域活性化や非常時のエネルギー確保にもつながると期待します。
今後は指標の進捗や実績についてフォローアップした年次報告を公表する予定です。
※重点プロジェクトは、①LEDの道路照明への導入、②再生可能エネルギーの活用、③低炭素な材料の導入促進、④自転車の利用促進、⑤渋滞対策の推進、⑥ダブル連結トラックの導入推進――の6つ。