エシカル消費を促すアプローチ方針を提言、「グリーン志向の消費行動に関するワーキングチーム取りまとめ」 消費者庁
消費者庁は2月20日、「グリーン志向の消費行動に関するワーキングチーム取りまとめ」を公表しました。
「グリーン志向の消費行動に関するワーキングチーム」(以下、ワーキングチーム)は、消費行動の現状・課題を分析し、エシカル消費(倫理的消費)やグリーン志向の消費行動を促すための方策を検討するために立ち上げられました。このたび公表されたのは、ワーキングチームが2025年2月までに合計4回にわたって実施した議論を取りまとめたものです。
報告書ではまず、「令和6年度消費生活意識調査(第3回)」の結果などをもとに消費者の現状を整理しています。日本の消費者は、気候変動などによってさまざまな影響が全国各地に現れていることを体感している一方で、危機感や「自分事としての認識」が不足しており、行動変容にはつながっていないことが指摘されています。さらに、何がエシカル消費やグリーン志向の消費行動といえるのかを認知できていない消費者が多く存在するという推察についても、データの分析結果とともにまとまっています。
グリーン志向の消費行動を促すためには、消費者の行動変容が進まないのは何らかの課題があるからなのではないかという「課題解決アプローチ」ではなく、消費者の行動変容に向けて社会的・経済的・心理的インセンティブをどのように創出していくかという「市場創出アプローチ」が重要だとしています。その上で、消費者の行動変容を後押しするための具体策が5つ挙げられています(①消費者の関心を刺激する働き掛け②貢献度の見える化③消費者が選択しやすい売場環境や動線づくり④認証ラベル・マークの活用⑤心理的インセンティブによる習慣化)。
また、消費者に地球環境の現状や課題を伝えるにあたって、一企業だけで取り組むのには難しさがあることを指摘しています。そこで、行政を起点としながら、事業者、事業者団体、民間団体、メディアなどの幅広い主体が連携し、消費者の適切な危機感醸成に取り組むことを提言。各主体の取り組みを後押しする上では、コミュニティに参画する消費者への満足感・心理的充足感を生み出すような好事例を発掘し、世の中に広く周知することも重要だと示しています。認証ラベル・マークについては、消費者や販売員にとってより有益なツールとなるよう、各ラベル・マークの違いや、認証の取得基準などに関する情報の整理・提供が必要だとしています。
報告書の結びでは、グリーン志向の消費行動は一部の率先した消費者が取り組むのではなく、全ての消費者が日常的に実践することが望まれると記されています。