内閣府は9月16日、災害時における安否不明者の氏名公表について検討するよう、都道府県などへ通知しました。7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害では、静岡県災害対策本部は積極的に氏名を公表し、それによって救助対象者が絞り込まれ人命の救助活動の効率化・円滑化につながりました。今回の通知はこの事例を踏まえたものです。
「災害時における安否不明者の氏名等の公表について」と題された通知では、氏名などの公表を行うに当たっての留意事項を整理し、指針を示しています。氏名などの公表は人命の救助活動の効率化・円滑化に役立つ場合があることや発災当初の72 時間が極めて重要な時間帯であることなどを指摘した上で、公表の可否や判断基準などについて平時から検討しておくことを求めました。なお、安否不明者とは「行方不明者となる疑いのある者」と定義しています。
地方公共団体は個人情報保護条例に照らして氏名などの公表について判断しますが、指針では、同条例が定める個人情報の利用および提供制限の例外規定の適用を検討するよう促しました。ただ、配偶者からの暴力(DV)やストーカー行為の被害者などが氏名などの公表によって不利益を被らないよう、関係機関との調整も同時に求めました。
また、公表の可否の判断に時間を要する対象者がいる場合には、それ以外の公表可能な対象者から段階的に公表することも考えられると示しています。