東京都は2月9日、策定した「東京都交通局浸水対策施設整備計画」を公表しました。計画の策定にあたっては、東京メトロと連携して地下鉄の浸水被害についてシミュレーションを実施。その結果をもとに浸水対策に向けた施設整備の方向性や具体的な整備手法、手順などを取りまとめました。およそ300億円の事業費を見込み、対策のすべてを完了する時期は2040年代半ばを予定しています。
今回の計画では、都市型水害の対策および荒川氾濫や高潮による大規模水害の対策を策定しています。対策を完了する時期はそれぞれ、都市型水害対策が2030年代半ば、荒川氾濫対策が2040年頃、高潮対策が2040年代半ばと示されています。
都営地下鉄の路線の多くは浸水区域内に位置しています。東京メトロと実施した河川氾濫シミュレーションでは、地下に流入した水がトンネルや乗換駅の接続部を通じて広がり、地下鉄ネットワークへの被害が特に大きくなることが分かりました。
そのため例えば、駅の出入口に止水板を整備したり、地下構内には防水扉を、トンネル内には防水ゲートを整備したりして浸水範囲の縮小を図ります。また、乗客の避難誘導訓練や車両避難訓練など多様な訓練を積み重ね、水害への対応力を高めるとしています。