東証プライム上場企業の約65%は男性育休取得率が50%以上、有価証券報告書(2024年3月期決算)における「人的資本」開示状況の調査結果(速報版)を公表 日本生産性本部
人的資本の情報開示は、2023年3月期の有価証券報告書から義務付けられました。日本生産性本部では昨年度から東証プライム上場企業の有価証券報告書における人的資本の開示状況を調査しており、このほど2回目となる調査結果を公表しました。調査対象は2024年3月期決算企業の1,130社(6月末時点で開示されていた企業)です。
人的資本は非財務情報の一部、サステナビリティに関する事項として有価証券報告書に記載欄が設けられました。具体的には、人材育成や社内環境整備に関する方針のほか、人材の多様性をはかる指標として「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」(以下、男性育休取得率)の開示が求められます。
日本生産性本部が公表した報告書(速報版)によると、特に、男性育休取得率において各社の取り組みが進んだことが分かりました。具体的には、男性育児取得率が50%以上とする企業の割合が6割を超えました。前回調査(=2023年3月末決算)では約45%でしたが、今回調査(=2024年3月末決算)では64.8%となり、およそ20ポイントも増加しました。業種別で見ても全業種で増加しました。
男性育休取得率が向上した一方、女性管理職比率と男女間賃金格差については、わずかに改善した程度となりました。女性管理職比率が5%未満の企業は46.0%(前回調査は48.2%)、15%未満が83.2%(同84.1%)となり、それぞれ前回調査に比べてわずかに縮小しました。女性管理職の比率は業種別で見ると、高い順にサービス業▽金融・保険・不動産業▽情報通信業――となりました。
男女間の賃金格差では、男性を100とすると女性は全体平均で71.4(前回調査は70.8)となり、わずかに是正されました。男女間の賃金格差を業種別で見ると、差が小さい順に情報通信業▽製造業▽サービス業――となりました。
このほか、人的資本・多様性に関する記載の傾向などを分析しています。「人材・多様性を『経営』とつなげる意識の高まりが見られる」などと指摘しています。