施行後5年の気候変動適応法、取り組み状況を点検した中間とりまとめを公表 環境省
掲載:2024年09月02日
リスクマネジメント速報
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気候変動適応法(以下、適応法)は昨年12月で施行から5年となりました。同法は施行から5年後にその状況について検討を行うこととされており、中央環境審議会(環境相の諮問機関)の地球環境部会の下部組織、気候変動影響評価・適応小委員会が今年1月から審議してきました。同委員会はこのほど、その内容を中間とりまとめとして決定、公表しました。中間とりまとめには、適応法の施行状況に関する状況とこれまでの主な取り組み、課題と今後の展開が記されています。
適応法では、気候変動適応計画を策定しています。そこでは例えば、都道府県・市町村が「地域気候変動適応計画」を策定するよう努めることと定められています。その進捗状況は47都道府県と20政令指定都市のすべてで策定済みとなり、その他の市区町村においては248自治体が策定済みとなりました(2024年3月末時点)。
企業においては、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)の提言に基づき、サステナビリティ報告書や統合報告書、有価証券報告書で情報を開示する取り組みが広がりました。日本では1,470の企業・機関がTCFDに賛同していると紹介しています(2023年10月12日時点)。
各省庁は企業の取り組みを後押ししてきました。環境省では企業のシナリオ分析や情報開示に関する方法論をガイドブックとして取りまとめ、毎年更新版を公表してきました。国土交通省は、気候変動を踏まえた洪水リスク評価および対策の方法をとりまとめた「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き~気候変動を踏まえた洪水による浸水リスク評価~」を公表しています(2023年3月)。地球温暖化が進むと、農作物の栽培方法を見直す必要が出てきます。農林水産省では「農林水産省気候変動適応計画」を策定、高温に強い品種や温暖化に適応した栽培管理技術の開発を推進しました。
一方、施策の評価については指標の設定が困難であるといった課題があるほか、専門人材も不足しており、企業においては経営判断に必要な情報が得られていないケースが多くあるなどと指摘しています。
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