線状降水帯の半日前発生予測の呼びかけ、対象範囲を府県単位に絞り込んだ運用実績を発表 気象庁
掲載:2024年10月24日
リスクマネジメント速報
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線状降水帯の発生について半日程度前からの呼びかけ(発生予測)の情報を発表している気象庁は10月16日、2024年9月30日時点の予測に対する「適中」と「見逃し」の結果を公表しました。「適中」した割合は約10%となり、運用前の想定である25%よりも下回りました。
気象庁は、線状降水帯の発生について「顕著な大雨に関する情報」と「線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ」の2つの情報を発表しています。前者は「線状降水帯が発生した」とする情報(※)であり、後者は線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いと予想された場合に半日程度前から発表する情報です。半日前発生予測の呼びかけは2022年に運用を開始し、今年5月27日からは発表の対象範囲を11の地方単位からより絞り込んだ府県単位での発表へと変更しました。
線状降水帯の半日前の発生予測について計81回、発表しました。このうち実際に線状降水帯が発生したのは約10%に当たる8回でした。
9月30日時点での線状降水帯の発生事例は計15事例でした。発生事例のカウントは全国を11ブロックに分けた地方予報区単位であり、1つの事例で複数の県にまたがる場合があります。昨年度は発表の対象範囲がこの11ブロックであり、適中率は約41%(=計22回呼びかけたうち実際に9回発生)でした。気象庁ではこの結果を踏まえ、発表の対象範囲を11ブロックから府県単位へと絞り込んだ場合の適中率を25%と想定していました。
半日前の発生予測を発表しなかったときに実際には線状降水帯が発生したケースが9回ありました。見逃し率にすると約53%でした。昨年は約61%(=実際には23回発生したが呼びかけは14回)であったため、見逃し率は改善しました。なお、気象庁が想定していた見逃し率は50%でした。
線状降水帯が発生した際の3時間の雨量は120~200mmとなりました。他方、線状降水帯の発生こそなかったものの、半日前の発生予測が発表されたケースで3時間の雨量が約200mmとなったものがあったほか、約150~170mmとなったケースもいくつかありました。
※10分先、20分先、30分先のいずれかにおいて、気象庁が設定した基準をすべて満たす場合に発表
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