今年の最重要リスクは「国家間の武力紛争」、グローバルリスクレポート2025を公表 世界経済フォーラム
掲載:2025年01月29日
リスクマネジメント速報
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世界経済フォーラムは1月15日、20回目となる「Global Risks Report 2025(グローバルリスクレポート2025)」を発表しました。グローバルリスクに関して2025年から10年間の見通しを示し、世界情勢は分断と対立が深まりつつあるなどと警鐘を鳴らしました。
グローバルリスクレポート2025は2024年9~10月、世界各国の識者900人以上を対象に実施した調査を取りまとめたものです。「2025年に世界規模で重大な危機をもたらす可能性が最も高いと思われるリスク」といったグローバルリスクの超短期的リスクのほか、向こう2年間の短期的リスク、10年間の長期的リスクについて重要度(深刻さ)を順位づけて公表しています。
それによると、まず超短期的リスクの1位は「国家間の武力紛争」で回答者の23%が選びました。次いで「極端な気象現象」が14%で2位、「地経学的対立」が8%で3位、「誤情報および偽情報の拡散」が7%で4位、「社会的分極化」が6%で5位となりました。次に今後2年間の短期的リスクの1位には「誤情報および偽情報の拡散」、2位は「極端な気象現象」、3位は「国家間の武力紛争」でした。他方、今後10年間の長期的リスクの1位には「極端な気象現象」、2位は「生物多様性の損失および生態系崩壊」、3位は「地球システムの重大な変化」となりました。
リスクは経済、環境、地政学、社会、テクノロジー(技術)の5つに分類されています。超短期的リスクの上位10個にはこの5つの分野すべてが挙がっていますが、長期的リスクの上位10個では分野が環境、社会、技術の3つに絞り込まれています。気候変動や社会的分断、AIがもたらすリスクなどが悪化すると予測しているためです。
このレポートは、グローバルリスクを多方面から特定・分析しており、ステークホルダー別の順位も掲載しています。それによると、民間セクター(企業)が認識する短期的リスクの1位は「誤情報および偽情報の拡散」、次いで「社会的分極化」、「国家間の武力紛争」となりました。他方、長期的リスクの1位は「極端な気象現象」、次いで「生物多様性の損失および生態系崩壊」、「地球システムの重大な変化」となりました。
世界経済フォーラムが2024年4~8月に実施した「経営者意識調査」の結果も付録資料として収録されています。「あなたの国にとって今後2年間で最大の脅威となる可能性が最も高いリスクはどれですか」という質問に対する回答が国別にまとめられています。それによると、日本の経営者が認識する短期リスクの1位は「労働力または人材不足」であり、これはドイツと同じとなりました。他方、米国では「経済不況」が1位となりました。日本とドイツでは少子高齢化が進んでいるほか、米国では第二次トランプ政権での経済摩擦を懸念したものとなりました。
グローバルリスクレポート2025の詳細についてはこちらで解説しています。