東京都はこのほど、「東京都地域防災計画」の火山編について修正案を公表し、意見公募を始めました。募集期間は3月9日まで。東京都では寄せられた意見を踏まえ、2025年度に東京都地域防災計画の火山編を修正する予定です。
東京都地域防災計画とは災害対策基本法に基づき策定されるもので、火山編のほかに、震災編▽風水害編▽大規模事故編▽原子力災害編の計5編で構成されています。火山編は火山噴火災害の予防、応急・復旧、復興に関する内容となり、現行計画は2018年に修正されたものとなります。
今般の修正は、2023年に実施した図上訓練や東京都が2023年12月に策定した「大規模噴火降灰対応指針」などを反映させるものです。文書構成も見直され、現行計画は4部構成となっていますが、修正案では3部構成とし、第1部「総論」、第2部「島しょ火山編」、第3部「富士山噴火降灰対策編」としています。
第1部「総論」には、新たに「目指すべき到達目標の設定」が設けられています(第2章)。島しょ火山対応▽富士山噴火降灰対応▽共通――の3つに分け、目指すべき到達目標を記しています。
例えば、島しょ火山対応では、避難体制の整備について「円滑な避難に向けた対策が講じられ、様々なリスクに柔軟に対応できる体制が整備されている」を目指すべき到達目標としました。また、富士山噴火降灰対応では、「降灰の初期段階から効率的に除灰する体制が構築されている」(交通インフラ対策)ことや、「ライフライン事業者による予防・応急復旧策が強化されている」こと(ライフライン対策)などが目指すべき到達目標とされています。
東京都が2023年に実施した図上訓練は島しょ火山を対象にした内容でした。訓練などを通じ、島民の避難誘導を円滑に行うためには噴火時のタイムラインに応じた各機関の役割や、とるべき対応を明らかにする必要があると分かり、島内避難から島外避難、避難者の受け入れまでの各段階において各機関の役割や業務の手順をあらかじめ決めるといった対策が盛り込まれました。
富士山噴火の降灰対応については在宅避難を原則とする方針が示されています。ただ、降灰厚による木造建物の倒壊や土石流、ライフラインの途絶などのリスクに応じて避難を検討する必要があるとし、国に対して降灰時の避難判断に必要な注意報、警報を導入するとともに、避難のタイミングや訪日外国人への対応など、降灰時における避難のガイドラインを示すよう、要望していくと記されています。