5日先までの台風進路予報の時間間隔を6時間刻みへ、台風情報の高度化に関する検討会が中間とりまとめを公表 気象庁
台風情報の改善について検討を進めてきた気象庁の有識者会議「台風情報の高度化に関する検討会」は3月14日、中間とりまとめを公表しました。台風情報の重要性は一層高まってきているとして早めの備えを促す情報と、台風の特徴を伝えるきめ細やかな情報について改善案を示しました。最終のとりまとめ案は6~7月頃になる見通しです。
平成30年台風第21号や令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風など近年は台風による甚大な被害が発生しています。台風被害の影響を小さくするため、公共交通機関では計画運休、事業者では安全性・経済性を考慮した事業計画の策定、自治体や防災関係機関ではタイムライン(防災行動計画)の策定、住民の広域避難の検討などが進められています。こうしたなか、台風情報の重要性がより高まっているとして検討会は台風情報の改善について検討してきました。
中間とりまとめによると、課題は大きく2点に整理されました。一つは早めの備えを促す情報の重要性が高まっているが、現状の台風情報では、台風発生の24時間前からしか提供できていないこと。2つ目は社会のさまざまな事前対策や防災対応が効果的に行われるためには、台風の特徴を伝えるきめ細かな情報が欠かせないが、現状の台風情報ではそのような情報になっていないことです。
これらの課題に対して対応案を示しています。1点目の「24時間前からしか提供できていない」という課題については、新たな情報を提供する方針です。海外気象機関での実例を参考に、6カ月先▽3カ月先▽1カ月先▽1週間先――といったリードタイムで台風が発生する可能性を予報します。そのときどきで不確実性を考慮した直観的に分かりやすい情報とします。例えば、1週間先では「マリアナ諸島付近にある熱帯低気圧が台風に発達する可能性が高い」といった既に存在している熱帯低気圧が台風になる可能性を提供します。こうした情報は住民の備えの意識を高めるほか、海洋建設工事や船舶・航空機の運行計画に有効とされました。
2点目の台風の特徴を伝えるきめ細かな情報については例えば、120時間先(5日先)までの台風進路予報の時間間隔を現状の24時間刻みから6時間刻みへと細かくします。時間間隔が細かくなることで、台風の影響を受け始めるタイミングや終わるタイミングが把握できるようになります。
また、交通政策審議会気象分科会の提言「2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」(2018年)においては、2030年までに台風の3日先の進路予測誤差を100km程度まで向上させるとした重点事項が示されていることから、台風進路予報の予報円の大きさと暴風警戒域についてはより絞り込んで発表するよう改善します。なお、進路予測誤差100km程度とは現在の1日先の進路予測誤差と同レベルであり、予報円が小さくなることを意味します。