富士山火山防災対策協議会は3月26日、富士山ハザードマップを改定し公表しました。2004年のハザードマップ策定以降に噴火実績や噴火口跡について新たなデータが得られ、分析などが進んだため、同協議会は2018年にハザードマップの改定作業に着手、今般の改定・発表となりました。
改定にあたっては、「溶岩流」、「火砕流」、「融雪型火山泥流(積雪時に火砕流が発生し、積もった雪が融かされて洪水のように流下する現象)」の3つの現象について噴火シミュレーションを実施しました。「溶岩流」については、一部地域において、溶岩流の到達時間が従来よりも早まったほか、溶岩が到達する恐れのある範囲も拡大しました。これは、シミュレーションのパターンを前回策定時の約5倍に増やすとともに、溶岩の噴出量を約2倍にして想定したため。同様に「火砕流」についても、シミュレーションを約4倍に増やした結果、山腹の傾斜が急な北東・南西方向へ、火砕流の到達距離が長くなる想定に変わりました。「融雪型火山泥流」においても、火砕流の結果を踏まえ、泥流は前回よりも遠方にまで到達する想定に改めました。
2004年以降に新たな科学的知見が蓄積され、想定の対象とする噴火年代や火口範囲が拡大したり、地形メッシュサイズを細かくしたりしたこと、過去の噴火における溶岩の噴出量や火砕流の噴出規模が最新調査によって著しく変化したことが、想定範囲の拡大に影響しました。
同協議会は今後、「富士山火山広域避難計画」を改正する方針で、これに伴って、関係自治体の避難計画の見直しも行われることになります。