二酸化炭素(CO2)を分離回収して地下に封じ込める技術、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の社会実装を目指し、長期ロードマップの策定を議論してきた経済産業省の検討会は3月10日、報告書を公開しました。CCSを事業化するための工程表を取りまとめたもので、2050年時点での年間貯留量の目安を1.2億~2.4億トンと想定し、2030年までを「ビジネスモデル構築期」、2050年までを「本格展開期」と位置付け、政府の事業者向け支援策や法整備について提言しています。
CCSは「2050年カーボンニュートラル」を実現するためのカギになる技術とされています。検討会では、国際エネルギー機関(IEA)の試算を基に、2050年時点での年間貯留量を想定しました。これは現在の排出量の約1~2割とされています。また、2030年にCCSを導入する場合、2050年までの20年間は毎年、約 600~1,200万トンずつ年間貯留量を増やす必要があると明記しています。
一方、CCSには技術の確立やコストの低減、CO2を貯留する適地の確保など多くの課題があります。提言では、2030年以降にCCS事業を本格的に展開できるよう、下記6つのアクションを示しました。
- CCS事業への政府支援
- CCSコストの低減に向けた取り組み
- CCS事業に対する国民理解の増進
- 海外CCS事業の推進
- CCS事業法(仮称)の整備に向けた検討
- 「CCS行動計画」の策定・見直し
また、工程表とともにCCS事業法(仮称)の立法に向けた提言書(「CCS事業法(仮称)のあり方について」)も同時に公開しました。