12年ぶりに抜本改定、「東京都新型インフルエンザ等対策行動計画」を公表 東京都
東京都は5月16日、意見公募を経て12年ぶりに抜本改定した「東京都新型インフルエンザ等対策行動計画」(以下、都行動計画)を公表しました。都行動計画は、同じく抜本改定となった政府の「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」と「東京都感染症予防計画」(2024年3月に改定)との整合性を取る形で改定されました。また、都行動計画の中から特に住民に知って欲しいことなどを抜き出した都民向けデジタルブック「次の感染症危機に備える!アクションbook」も作成、同日公開しました。
都行動計画は「新型インフルエンザ等の感染拡大の抑制、都民の生命および健康の保護」と「都民生活および都民経済に及ぼす影響の最小化」を目的として策定されています。新型インフルエンザ等への対策に関する基本的な方針や東京都が行う対策の選択肢が示されています。医療の提供と感染拡大防止策を適切に講じることで、感染拡大のスピードやピークを抑制し、医療提供体制において対応可能な範囲内に収めることを目指しています。次の感染症危機が新型インフルエンザや新型コロナウイルスとは限らないことから、都行動計画はこれら以外の呼吸器感染症も念頭に置き、中長期的に複数回の流行が発生する可能性を想定しています。また、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策の切り替えを円滑に行うと明記し、それによってまん延の防止に関する措置に伴う都民生活および都民経済への影響を軽減するとの方針が打ち出されました。
かつての都行動計画は全4章構成でしたが、改定によって3部構成になりました。第1部では基本的な考え方を示し、第2部では各対策項目に関する考え方と具体的な取り組みについて述べています。第3部では、都政機能を維持するための危機管理体制について記載されています。
対策項目は8項目から13項目へと細分化されました。これは政府の行動計画が13項目へと細分化されたことを踏まえたものです。特に「実施体制」(第2部第1章)と「まん延防止」(同第6章)の記載が充実しました。
他方、発生段階はかつての6段階から3段階に再編されました。こちらも政府の行動計画の改定に伴うもので、これまで東京都は発生段階を6段階で整理していました。3段階とは、「準備期」「初動期」「対応期」であり、すべての対策項目はこの3段階ごとに取り組みが示されています。準備期の取り組みを充実したほか、有事においては準備期で行った検討に基づき、実施体制を強化し迅速に対策を実施するとしました。なお、対応期は「封じ込めを念頭に対応する時期」「病原体の性状等に応じて対応する時期」「ワクチンや治療薬等により対応力が高まる時期」「特措法によらない基本的な感染症対策に移行する時期」の4区分で構成されています。
都民向けのデジタルブックは全28ページで、都行動計画の概要のほか、次の感染症への備えについて説明されています。感染症についてはまず、正確な情報を入手しようと呼びかけています。