緊張感ある信頼関係に向けて「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム2025」を公表 金融庁
金融庁は6月30日、「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム2025」(以下、アクション・プログラム2025)を公表しました。「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」での議論を受けて取りまとめられたもので、コーポレートガバナンス・コードの第3次改訂に向けた検討や、有価証券報告書の記載事項見直しなどを進めると記されています。
2014年に策定されたスチュワードシップ・コードは今年6月、第3次改訂が行われました。「協働エンゲージメント」の促進や実質株主の透明性向上が改訂の柱となるとともに、スリム化およびプリンシプル化を目的とした見直しも行われました。
アクション・プログラム2025では、2015年に適用開始となったコーポレートガバナンス・コード(2021年6月改訂)についても見直しを行う方針が明記されました。方向性として、経営資源の最適な配分▽上場企業の総会前開示の促進▽独立社外取締役の増員といったことなどが示されています。
経営資源の最適な配分については、日本企業は長年にわたり現預金を積み上げてきたが、持続的な成長の実現に向けてこれらの資金を適切に配分してきたのか、経営資源の適切な配分に関する取り組みが必ずしも十分でないとの指摘を受けていると紹介しました。経営資源の配分先は、設備投資や研究開発への投資、地方拠点の整備、スタートアップ、人的資本および知的財産などさまざまにあると示しました上で、現状の資源配分が適切であるかを不断に検証しているか、現預金を投資に有効活用できているかといった検証や説明責任の明確化について検討していくと方針を示しました。
有価証券報告書では人的資本の投資について開示が義務付けられるようになりました(2023年3月期)。アクション・プログラム2025ではさらに、企業戦略と連動した人材戦略や従業員給与・報酬の決定に関する方針、従業員給与の平均額の前年比増減率などの開示を求める方針と記しました。
上場企業の総会前開示の促進では、有価証券報告書の提出は株主総会の3週間以上前に行うことが最も望ましいとされています。総会前の開示をさらに促すため、コーポレートガバナンス・コードの見直しを検討するとともに、環境整備に向け制度横断的な検討を進めます。あわせて、有価証券報告書の記載事項についてスリム化といった整理を検討するとしました。
独立社外取締役の増員については、2024年末時点でプライム上場企業の98%が「3分の1以上」を選任し、「形式は整ってきたとの評価がある」としました。その上でグローバルに活躍するプライム上場企業については、将来的には過半数を選任するべきとの指摘があると記しました。