日本におけるサステナビリティ開示基準を開発しているサステナビリティ基準委員会(SSBJ)は3月5日、2度の意見募集を経て決定したサステナビリティ開示基準(以下、SSBJ基準)を公表しました。SSBJ基準は3つの基準から構成されており、準拠したとするには3つ同時に適用することが求められます。金融庁に設置されているサステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループでは時価総額3兆円以上の企業に対し2027年3月期から適用を義務化する方針が示されています。SSBJでは今後、適用の参考となるような補足文書と、SBBJ基準を解説するハンドブックを作成しウェブサイトにて公表するとしています。
確定したSSBJ基準は、サステナビリティ開示ユニバーサル基準「サステナビリティ開示基準の適用」(以下、適用基準)▽サステナビリティ開示テーマ別基準第1号「一般開示基準」(以下、一般基準)▽サステナビリティ開示テーマ別基準第2号「気候関連開示基準」(以下、気候基準)――の3つです。
適用基準はSSBJ基準に準拠したサステナビリティ関連財務開示を作成・報告する際の基本となる事項を定めた部分となり、情報開示をするための規則や手順などを定めています。テーマ別基準の2つはサステナビリティ関連のリスクおよび機会に関して開示することを求め、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」の4つの要素で構成されています。
SSBJ基準は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が2023年6月に公表したIFRSサステナビリティ開示基準(IFRS S1号およびIFRS S2号)と整合性のあるものとして開発され、原則としてIFRSサステナビリティ開示基準の要求事項をすべて取り入れることとしました。その上でSSBJ基準独自の追加規定も設定し、それをIFRSサステナビリティ開示基準の要求事項に代えて選択することを認めています。SSBJ基準は適用対象を定めませんが、東証プライム上場企業が適用することを想定して開発されました。
SSBJ基準の導入や適用時期・対象企業は金融商品取引法の枠組みにおいて定められる見込みです。金融庁は金融審議会においてサステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループを2024年3月に設置、これまでに5回に渡って審議されてきました。会議資料によると、開示基準を2026年3月期から導入し、翌2027年3月期において時価総額3兆円以上の企業から順次適用を義務化する方針です。開示された情報の信頼性を担保するため、保証制度も導入し、こちらは2028年3月期を計画しています(適用は時価総額3兆円以上の企業)。対象企業はそれぞれ順次広げていく方針で、最終的に東証プライムの全上場企業に適用する方針です。