SSBJハンドブック、財務的影響の情報開示に役立つ補足文書を新たに公表 SSBJ
サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、サステナビリティ開示基準(SSBJ基準)の適用に参考となるものとして、新たな補足文書「ISSB基準の適用にあたっての予想される財務的影響に関する情報の開示」を公開しました。
SSBJ基準は、基準を適用した結果として開示される情報が国際的な比較可能性を大きく損なわないよう、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が開発する「IFRSサステナビリティ開示基準(ISSB基準)」との整合性が図られています。そのため、サステナビリティ開示基準の適用にあたっても参考になるものとして、ISSBが公表した教育的資料を和訳した本資料がこのたび公開されました。
ISSB基準では、サステナビリティ関連のリスク及び機会が企業の財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローに与える現在の影響と、短期・中期及び長期にわたって予想される財務的影響を提供するよう求めています。これらの要求事項は、投資者が企業への資源提供に関する意思決定を行う上で有用となります。
本文書では、ISSB基準はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言と整合していながらも、さらに具体的であると説明しています。TCFD提言は企業に気候関連のリスク及び機会が企業のビジネス、戦略及び財務計画に与える実際の(及び潜在的な)影響を開示することを求めるものです。一方、ISSB基準では気候関連だけでなく、サステナビリティ関連のリスク及び機会も扱います。
本文書によると、ISSB基準では、情報開示は自社のサステナビリティ関連のリスクや機会に関する「ストーリーを語る」のに役立つよう、情報のつながりを向上させ、重複を避けることが推奨されています。
企業が予想される財務的影響に関する開示を作成する際のポイントとして、過大なコストや労力をかけずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を使用すること、そして企業が利用可能なスキル、能力及び資源に見合ったアプローチをとることが大切としています。
なお、本文書によると企業は、財務的影響を定量的に開示することが困難な場合は定性的な情報を提供する必要はないとしています。
資料の後半では、炭素価格や水不足のリスクに関して予想される財務的影響の開示例がまとまっています。また、木造住宅の市場需要の高まり、電子廃棄物処理の機会や、気候に関連するリスク・機会について予想される財務的影響の開示例も掲載されています。
補足文書の全文は、SSBJのウェブサイトから確認することができます。