ガバナンス開示について想定上のA社を用いて例示、新たなSSBJハンドブックを公開 SSBJ
サステナビリティ基準委員会(SSBJ)事務局は10月末、「SSBJハンドブック」として文書3点を新たに公表しました。SSBJハンドブックはサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)の適用に関する参考情報です。SSBJ基準は2026年3月期から任意適用が始まり、2027年3月期からは段階的な義務化が見込まれています。
今回公開されたハンドブックは、①ガバナンスに関する開示②スコープ3温室効果ガス排出の測定方法および開示③セクター別脱炭素アプローチ――の3点です。これらはSSBJ基準を利用する企業の利便性を考慮し、SSBJの審議を経ずに事務局が作成、公表しています。今年3月にSSBJ基準が発表されて以来、毎月月末に新たなハンドブックが公開されています。
「ガバナンスに関する開示」と題された文書では、一般開示基準(テーマ別基準第1号)および気候関連開示基準(テーマ別基準第2号)のコア・コンテンツである、「ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標」の中のガバナンスについて解説しています。
投資家などは、企業がサステナビリティ関連のリスクおよび機会をモニタリングし、管理・監督するために用いるガバナンスのプロセス、統制、および手続きを理解したいと考えています。そのため、SSBJ基準ではガバナンス開示について大きく次の2点を求めています。
- サステナビリティ(気候)関連のリスクおよび機会に監督責任を負うガバナンス機関または個人に関する事項
- 経営者の役割に関する事項
具体的には、サステナビリティ関連のリスクと機会を監督する体制、取締役会や経営陣の役割と責任、レポートライン(リスクおよび機会についてどのように、どれくらいの頻度で情報を得ているか)、サステナビリティ課題を経営戦略や報酬制度にどのように反映しているか、さらに監督者のスキルやコンピテンシーに関する開示も求められています。
これらの事項を踏まえてハンドブックでは想定上のA社を用いて開示例を記しました。
例えば、サステナビリティ委員会およびサステナビリティ推進部会の役割▽権限▽構成▽開催頻度—について記述例を示しています。さらに、取締役会や経営会議を含む推進体制図も例示されています。報酬制度については役員の業績評価項目に気候関連の評価を組み込んでいる場合の記述例となっています。
監督者のスキルやコンピテンシーに関する開示では、取締役会メンバーが年に1回はサステナビリティ関連の研修に出席しているなどの取り組みが記載例として挙げられています。