東京商工会議所(東商)は8月18日、「超入門版BCPシート(首都直下地震編)」を公開しました。BCPの普及促進を目的としてA3用紙1枚で完結する簡便なテンプレート(パワーポイント形式)となっています。
東商によると、同シートを作成したのは東商地域振興部が担当する災害・リスク対策委員会です。東京大学生産技術研究所教授・社会科学研究所特任教授の加藤孝明氏と日本大学危機管理学部教授(学部長)の福田充氏が監修を務めました。中小企業向けに手軽かつ実践的にBCPを作成できることを目指して作成されました。
具体的には、首都直下地震への備えとして、発災時に誰が何をするか▽自社の重点事業と必要資源は何か▽事前準備は十分か――の3点に絞り込んで最低限検討するべき項目がまとめられています。BCP作成が初めての場合でも整理された構成によって作業が効率化されるとともに、最重要検討事項の抜け漏れを防ぐことが期待できます。
また、テンプレート(入力シート)のほかに、使用方法を解説した文書と記入例も用意されています。
東商が今年8月に公開した会員向けアンケート調査結果によると、中小企業におけるBCP策定率は28.0%と依然として低く、策定率63.0%の大企業とは2倍近く差が開いています(「会員企業の災害・リスク対策に関するアンケート 2025年調査結果」)。中小企業において策定率が低いのは、人員や時間に余裕がない、具体的な対策方法が分からないといった課題を中小企業が抱えているからだとして今般の「超入門版BCPシート(首都直下地震編)」リリースにつながりました。このシートを活用することが、事業継続に向けた取り組みの第一歩にもなります。
BCPの重要性が一層高まっていると捉えている東商ではこのほかに「『中小企業向けオールハザード型BCP策定ガイド』~『想定外』では済まされない時代に~」なども会員向けに作成しており、利用を呼び掛けています。さらに今後はAIを活用したBCP策定支援を開始する予定としています。