流通・サービス業向けの実践的経営改善ガイドブックを公表、Webサイトには事例検索機能も 東商
東京商工会議所(東商)は8月7日、流通・サービス事業者向けに経営改善ガイドブックと事例検索サイトを公開しました。経営改善に向けたノウハウを他社事例などから学ぶことができます。
公開されたコンテンツは「経営のカギ~流通・サービス業の実践的経営改善ガイド~」。デジタルブック版とWebサイト版があり、Webサイト版では約50社の事例紹介記事が経営改善の手がかりとなるとして事例記事の検索を促す記述(ワーク)もあります。
経営改善ガイドブックは2部構成で第1部を実践編、第2部を理論編としています。実践編では「取引形態や商圏特性、自社の強みという3つの事業特性を踏まえ、類似事例から成功要因を分析して自社に適用することが重要」とし、計5社の事例を紹介しています。さらにWebサイト版にある事例検索機能では、事業特性と、プロダクトイノベーションや組織イノベーションなどの「経営改善アプローチ」の2軸から検索することもできます。
理論編では、流通・サービス業の特徴や経営改善のポイントを整理した上で、東商が2024年9月に実施した会員向けアンケート調査結果の分析とそれを踏まえたアプローチ方法などを解説しています。
例えば、価格転嫁について調査では、事業のコストが増加した分の価格転嫁を「全て転嫁できている」と回答した企業の割合は12.7%▽「ほぼ価格転嫁できている」は23.9%▽「ある程度価格転嫁できている」は26.8%となり、転嫁率でみると、「70%以上の価格転嫁ができている割合は36%程度にとどまる」ことなどがわかりました。
その一方、商品・サービスを目標価格で販売できている企業も一定程度ありました。調査では全体の30.0%が目標価格での販売を「できている」と回答。その理由として多かったのは「会社の信頼性が高い」(54.9%)、「顧客とのコミュニケーションを大事にしている」(43.5%)、「ニーズを想起した価格を訴求できている(消費者に価値を伝えられている)」(41.4%)などだったと記されています(複数回答可)。
ガイドブックではこうした調査結果と経営戦略の理論などを踏まえて、物価高騰などを理由に商品やサービスの価格を上げても売り上げが落ちないような基盤を築くヒントを示しています。