気象庁は10月15日12時より、国立研究開発法人防災科学技術研究所が高知県沖から日向灘の海底に整備した「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)」の沖合システムから得られる、地震観測データの活用を開始しました。これにより、四国沖から日向灘にかけて発生する地震に関して、緊急地震速報が最大で20秒程度早く発表できる見込みです。
これまで、南海トラフ地震の想定震源域のうち、西側(高知県沖から日向灘)には観測網が設置されていませんでした。同研究所は、N-netの構築事業により、この海域にケーブル式の海底地震津波観測システムを整備しました。
N-netは、沖合システムと沿岸システムで構成される観測網です。同研究所は、2024年7月に沖合システム、2025年6月に沿岸システムの整備を完了しました。沖合システムの観測データは2024年10月から公開されており、同年11月より津波情報などへ活用されています。一方、沿岸システムの観測データは2025年10月1日より公開となっています。
沖合システムは、地震を観測する地震計と津波を観測する水圧計を備えた18台の観測ノードが、総延長約900キロメートルの海底ケーブルでつながれ、各地点に設置されています。観測ノードにより観測されたデータは、光海底ケーブルで2つの陸上局に伝送されます。伝送されたデータは、陸上局より地上通信回線網で同研究所のデータセンターや気象庁、自治体などに送信されます。
このほど、地震計のデータ品質確認などにより緊急地震速報へ活用する体制が整ったため、運用が開始されました。システムを運用することで、緊急地震速報(警報)の発表を迅速化するとともに、精度向上を図ります。