政府は11日、気象業務法と水防法それぞれを改正する法案を閣議決定しました。気象庁と国土交通省は「防災気象情報」について高度化・適正化を進めており、来年の出水期から導入を目指す、新たな防災気象情報に向けた法整備の一環となります。
改正案の柱の一つは、洪水や高潮に関する情報提供体制の強化です。まず洪水では、従来は「警報」と「注意報」のみでしたが、「特別警報」を新設します。「特別警報」は「警戒レベル相当情報」に位置付けられるものでは大雨(浸水害と土砂災害)と高潮のみを対象としていました。警戒レベル相当情報に位置付けられていないものでは暴風や波浪、大雪、暴風雪といったものが対象となっています。
洪水の特別警報の判断のため、気象庁は河川の水位変動や施設の損壊状況といった情報の提供を求めることができます。また、河川管理者や海岸管理者などは管理する河川や海岸において氾濫による著しい危険が切迫していると認められるときは、直ちに都道府県知事などに通報しなければなりません。
次に高潮については、国土交通大臣が指定した海岸について、国土交通大臣、気象庁長官、都道府県知事が共同して予報や警報を出します。国土交通大臣は高潮によって重大な損害が生じる恐れのある海岸をあらかじめ指定します。新たな予報および警報では、波の打ち上げの要素が加味されます。
このほか、外国法人などによる予報業務について規制を強化することが盛り込まれています。気象庁などによると、日本国内に向けて不正確な気象予報業務を行う外国法人の存在が確認されています。
気象予報業務は許認可制です。改正案では、外国法人などが予報業務の許可を申請する際、国内代表者または代理人の指定を義務付けます。国内代表者が明確になることで、許可申請の対応や法令違反があった際の是正措置を円滑にすることが狙いです。
国内代表者の所在を確知できない場合は、そのことを公告した上で申し出がないとき、簡易な手続きで許可を取り消すことができるようになります。
さらに、許可を取得せずに予報業務を行う、国内外の事業者に対しては、気象庁長官がその氏名などを公表できます。