2026年1月から本格適用されるEUの炭素国境調整措置(CBAM)を解説、概要スライドを公開 ジェトロ
掲載:2024年06月10日
リスクマネジメント速報
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欧州連合(EU)では、輸入する製品の生産過程で発生した温室効果ガスに対し、炭素課徴金を徴収するという炭素国境調整措置(CBAM)が2023年10月から始まり、2026年1月から本格的に適用される予定です。現在は移行期間(~2025年末)となりますが、日本貿易振興機構(ジェトロ)は5月29日、事業者向けにCBAMを解説した資料を公開しました。これは、ジェトロが今年2月に公表した同名レポートの内容をスライド資料にしたものです。
公開された資料は「概要スライド『EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)解説』(基礎編)」です(全25ページ)。EUで始まったCBAM制度の全体像を概説するとともに、企業が守るべきCBAM規則について手続きや義務、報告書の作成などについてまとめられています。
CBAMはCarbon Boarder Adjustment Mechanismの頭文字であり、国境炭素税を含む炭素国境調整措置のことを指します。対象となる製品は、セメント、電力、肥料、鉄鋼、アルミニウム、水素の6カテゴリーです。EUは温室効果ガスの排出規制が強い一方で、世界には排出規制の緩い国もあります。規制の緩い国に製造拠点が増えてしまうと世界全体では温室効果ガスの削減が進まない「カーボンリーケージ(炭素漏出)」が生じることになるため、それを防ぐ目的でCBAMは導入されました。
公表された資料によると、CBAM規則上の義務の対象者は、対象製品をEU域外から輸入する域内の事業者です。日本企業への影響については「現時点での対象製品ではCBAMの直接的な影響は、日本からの輸出量の観点では限定的」としています。ただ、対象製品は拡大する方針であることや、EU域内の現地法人ではCBAM報告が輸入者の手間・負担になるなどと指摘しています。2026年の本格導入に向けては、EU域内で輸入に関わる企業とEU域外の生産者のそれぞれに向けた対応すべき事項および事前準備がまとめられています。
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