災害対策などにも利用できる「国土数値情報」を国土交通省はオープンデータとして整備、公開しています。国土数値情報の整備に関して議論してきた同省の検討会はこのほど、今後の整備方針をとりまとめ公表しました。災害リスク情報や土地利用状況などの地理情報を地図上で重ね合わせられるGISデータとして国土数値情報は提供されています。
国土数値情報は災害・防災に関するものでは例えば、洪水や高潮に関する浸水想定区域や津波浸水想定、土砂災害警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、災害危険区域、避難施設などのGISデータが整備されています。このほか、道路やバス停、学校や医療機関など基礎的な情報を示すデータが整備されており、検討会資料によると約190項目が無料で提供され、2023年度は200万件以上のダウンロードがありました。
2024年は国土数値情報の整備開始から50年となり、当初は国や地方公共団体での利用が多くを占めていましたが、近年では民間企業や教育関係者などへも利用が広がりました。官民での利用が拡大する中、ITやAIなどの進展もあり、国土数値情報を取り巻く環境が大きく変化したことから検討会では課題を整理し対応策について取りまとめました。
論点は、ニーズ(行政・民間)の把握▽ユーザーの拡大▽効率的な整備手法・提供方法――の3つに整理されました。例えば、ニーズを把握する手段が限られていることや商用目的のユーザーを取りこぼしていること、GISデータ化されていない原典資料があることなどが課題でした。今後は、意見交換できる場を設けることや、商用利用不可・公開不可データをオープンデータ化するため、原典保有者との調整を図ること、原典資料のGISデータ化を支援すること(ガイドラインの作成など)、AI技術の導入の可能性について検討することなどに取り組むとしています。