「南海トラフ地震臨時情報」発表を受けての改善策を発表 内閣府
掲載:2025年01月07日
リスクマネジメント速報
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内閣府は2024年12月20日、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)発表を受けての防災対応に関する検証と改善方策」を公表しました。
南海トラフ地震臨時情報(以下、臨時情報)は2019年から運用が始まり、2024年8月8日、日向灘を震源とする地震が発生した際に初めて発表されました。各地では臨時情報への認知度が不十分であったことから戸惑いが起きた一方、地域の事情に応じた行動がとられるなどさまざまな反応がありました。
これを受け、地方公共団体や事業者との意見交換やアンケート、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループでの集中審議などを経て、政府としての対応の改善策がまとまりました。
まず1つ目に、今後は平時からの周知・広報がさらに強化されます。これは、「臨時情報が発表された際、どのような対応を取ればよいのか分かりづらかった」などの声をふまえた改善策です。具体的には、平時と臨時情報発表時との地震リスクの違い、防災対応の違いを重点的に周知する予定となっています。また、各自が臨時情報発表時にとる行動を平時から考えて記入する「マイ・タイムライン」の作成支援なども行われる予定です。
2つ目の策は、臨時情報発表時の呼びかけの改善です。2024年8月に臨時情報が発表された際には、防災担当大臣からの発信や、WEB上での情報掲載、気象庁や「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」会長の記者会見などを実施。しかし、アンケート結果からは「とるべき行動が分かりにくかった」という反応もありました。そのため、今後の発表時には、内閣府と気象庁が合同で記者会見を開催して包括的な説明を行ったり、簡潔に伝える事項と丁寧に解説する事項とを意識したり、図解を用いて迅速で十分な発信をしたりといった対応が行われます。また、政府の情報発信は、偽・誤情報による混乱を防ぐ効果もあることから、臨時情報発表に至った科学的根拠を解説するほか、SNSなども活用して情報発信を広く行う方針となっています。
3つ目に、各主体における防災対応検討も推進されます。2024年8月の臨時情報発表後に対応を行った地方公共団体からは「計画通りに住民へ呼びかけたものの、行動変容につながったかわからない」、事業者からは「地方公共団体によって対応が異なり、困った」といった声が寄せられました。これを受けて政府は各地域や業種、それぞれが実施した取り組みを事例として共有し、各主体での再検討につなげることとされています。また、意見交換では臨時情報の制度に関する質問もあったことから、平時から職員や住民への周知や、研修支援も強化される方針です。また、臨時情報の種別(警戒・注意)に応じた防災対応の違いや、地方公共団体別・事業者別の防災対応などについて、ガイドラインの追記や見直しを行うこととされました。