肥料や燃料の高騰、異常気象、世界人口の増加などの影響を受ける食料安全保障について、不測時の対応を検討してきた農林水産省の有識者会議は12月6日、報告書を取りまとめ公表しました。報告書では、不測時の食料供給確保のための新たな法制度が必要と提言しました。
報告書によると、現行法制度では、例えば食料需給に関する情報収集について不測時に必要な情報を速やかに利用したり取得したりすることができない可能性があると整理。食料安全保障上のリスクに応じて不測時の対応根拠となる法制度が必要という結論が示されました。
提言された新たな法制度では、事業者に「要請」や「指示」を行います。ただ、対応する事業者の経営上のリスクとならないよう必要最小限に留める方針が明示されています。
要請や指示は例えば、特定の品目の供給量が平時と比べて2割以上減少した場合に国は確保すべき総量などを示し、事業者に要請を行います。さらに要請のみで確保できない場合は輸入や生産の計画作成を指示するとしています。特定の品目とは主に、米、小麦、大豆(食用・油糧用)、その他の植物油脂原料(なたね、パーム油)、畜産物(鶏卵、食肉、乳製品)、砂糖のほか、肥料、飼料、種子・種苗、農薬、燃油などの生産資材を対象とすることが妥当と示されました。
さらに、こうした対策が着実に履行されるよう、インセンティブ措置(支援措置)と罰則などの法的な担保措置も示されました。例えば政府が行う情報収集に関しては、食料供給の確保対策のためには正確な情報が必要不可欠とし、報告徴収に対する虚偽報告や立入検査の受入れ拒否などについては、罰則(罰金)が妥当としました。