地震の規模や発生した場所などによって津波は大きさや継続時間が異なります。近い将来の発生が予測される南海トラフ巨大地震や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に起因する津波では、減衰するまでの時間が長時間になるとされています。気象庁の有識者会議では昨年末から、長時間継続する津波に対してどのような情報提供が望ましいかの議論を始め、4月19日に報告書を公表しました。気象庁ではこの報告書を踏まえ、長時間継続する津波に対して順次、情報提供を充実させていくと発表しました。
有識者による検討会「長時間継続する津波に関する情報提供のあり方検討会」は昨年12月25日に初会合が開かれました。大規模地震で長時間継続する津波を念頭に検討課題は、▽津波の時間的推移に応じた情報提供のあり方▽普及啓発におけるポイント――の2点でした。
報告書では、長時間継続する津波に対しては、津波警報などを補足する情報提供が必要だと指摘、津波の今後の見通しや実況について情報提供を充実させることが有効としました。津波で避難した人が危険な地域に戻ろうとせず、継続して避難することや、いつまで避難が必要なのか見通しが分からないことへの不安を低減させることを目的としています。また、長時間継続する津波では防災対応も長く続くことが想定されます。人命救助活動などを行う防災機関向けには、活動の判断材料となるよう、警戒が必要な期間を示すとともに発表情報について丁寧な解説が重要であるとしました。
津波を短時間の現象と捉えている人は少なくないため、長時間継続する津波に対する情報の普及や理解を深めてもらうための啓発活動が求められます。大規模地震による津波では、▽津波が半日や1日以上継続することがある▽津波の大きさが同じ程度で長く続いたり、長時間経ってから高さ最大の津波が到達したりすることもある▽継続的に最新の情報を入手する必要がある――ということが住民の共通認識となるような普及啓発を進める必要があると記されています。