改正公益通報者保護法が6月4日に成立、同11日に公布されました。施行日は公布から1年6カ月以内に政令で定める日とされており、2026年中に施行される予定です。消費者庁の公式サイトには改正法が成立・公布されたことを受け、改めて決定資料として「公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)」の概要・要綱・法律・新旧対照条文の4点が掲載されました。
「概要」と題されている資料は、改正法の趣旨や背景、重要な変更点、施行スケジュールなどを1枚にまとめたものです。条文(法律)の内容が要約されており、改正の目的は①事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上②公益通報者の範囲拡大③公益通報を阻害する要因への対処④公益通報を理由とする不利益な取り扱いの抑止・救済を強化する――の4点に整理されています。
今般の改正は消費者庁に設置された「公益通報者保護制度検討会」がとりまとめた報告書(2024年12月)の提言を反映するものであり、特に、通報者の保護を強化する内容となっています。公益通報を理由として解雇または懲戒をした場合、その関係者に6カ月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金を科す直罰規定が新設されるとともに、法人には3,000万円以下の罰金が科される両罰規定が定められました。通報から1年以内の解雇・懲戒は「通報を理由とするもの」と推定されることも盛り込まれました。
このほか、「要綱」は改正法の要点を簡潔にまとめた文書、「法律」は条文、「新旧対照条文」は現行法と改正法を対照形式で示したものとなります。
消費者庁は改正公益通報者保護法の施行に向けて、事業者が取るべき措置の具体的内容を定めた法定指針の見直し作業に着手することになります。今後、事業者などは新たに示される改正版の法定指針を踏まえ、自社の内部通報体制や対応方針を整備・運用していく必要があります。