日本能率協会(JMA)はこのほど、JMAが主催する新入社員向けセミナー参加者を対象とした意識調査の結果を公表しました(※1)。新入社員に働く姿勢や目的などを尋ねており、657人が回答しました。本調査はJMAが毎年行っているもので、今回は2025年4月1日~11日に実施されました。
仕事に対する抵抗度については、抵抗がある・どちらかと言えば抵抗があると回答したなかで最も多かったのが「上司や先輩からの指示が曖昧でも、質問をしないで、とりあえず作業を進める」が80.6%となり、指示が曖昧なまま作業を進めることに抵抗がある人が多いことが明らかになりました。
一方で、抵抗がない・どちらかと言えば抵抗がないと回答したなかで最も多かったのが、「困ったときに周囲に相談・連絡する」(77.1%)となり、「周囲に協力を依頼する」(73.1%)「上手くいかなかったことを、すぐに報告する」(71.7%)と続きました。JMAは抵抗度に関するこれら4つの回答から、失敗を恐れ「曖昧な指示」に強い抵抗感を示す一方、「相談」に前向きな姿勢は、挑戦するための土台として「心理的安全性」を強く求めていることの表れではないか、と分析しています。
転職を考えるシチュエーション(※2)については、「転職の人間関係が悪いとき」(82.4%)が最も多くなりました。次いで「会社の将来が見込めなくなったとき」(79.3%)「社風や企業文化が自分に合わないと感じたとき」(78.3%)「昇給(月給が上がること)が見込めないとき」(75.6%)という順となりました。
また、AIについても尋ねており、AIにより仕事が変わると思うか、という質問には、「変わると思う」が88.1%、「変わると思わない」が5.6%となりました。AIを使用して仕事をしたいか、という質問では、「したい」が28.5%、「機会があればしたい」が61.3%、「できればしたくない」が10.2%という結果となり、AIを前向きに捉えている人が多いという見解を示しました。
今まで使用したことのあるAIツールでは、多い順に「ChatGPT」が79.8%、「Gemini」が16.4%、「Copilot」が12.3%となりました。学歴別でみると、高校卒の利用率が「ChatGPT」(57.8%)「Gemini」(7.5%)「Copilot」(2.5%)と低くなっているとして、学歴による利用経験の差が今後の情報格差(デジタルデバイド)につながる懸念があるとしています。そのため、企業側で体系的な教育機会を提供し、スタートラインを揃える必要性が高まっているのではないか、と提言しています。
このほか、キャリア形成の意識や理想とする上司・先輩像、企業のグローバル化に伴う働き方などについての質問結果がまとめられています。
※1 出典:2025年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)
※2 「そう思う」「どちらかと言えば、そう思う」の回答の合計