気象庁は12月16日、津波警報や注意報を発表する際の対象地域の伝え方を改善すると発表しました。住民が警報の対象かどうかを、素早く判断できるようにするのが狙いです。
これまで気象庁は全国の沿岸を66の「津波予報区」に分け、「北海道太平洋沿岸東部」や「北海道太平洋沿岸中部」などといった区名で警報を出してきました。津波予報区は地形による津波の特性や、自治体の防災対応体制などを考慮して設定されたもので、行政区分(都道府県・市町村)とは異なります。しかも津波予報区の範囲は一般にはあまり知られておらず「自分の町がどの津波予報区に入っているのか」が直観的にわかりにくいという課題がありました。特に、1つの都道府県に複数の津波予報区が設定されている場合、一般人にはその境界線がわかりにくいと指摘されていました。
そのため、気象庁は今後、津波警報などを発表する際に、津波予報区ごとの対象市町村名を併せて明示するように変更します。北海道では、津波予報区のほかに地元住民にとってなじみがある振興局名を併記した上で、市町村名を示します。北海道以外の都県でも、1つの県内に複数の津波予報区がある場合は、市町村名を明記します。例えば津波予報区「青森県日本海沿岸」の場合は、深浦町▽つがる市▽鰺ヶ沢町などの市町村名を具体的に列挙します。
ただ、府県全体が一つの津波予報区にあたる場合は、従来どおり区名だけを掲載し、詳細な市町村の記載は省略します。報道資料やWebサイトでは、対象エリアが府県全域でない場合、「北海道太平洋沿岸東部※」のように「※」印を付して、別ページなどで該当市町村の一覧を明示します。
今回の見直しで津波予報区の区分そのものは変更されませんが、市町村名が併記されることで住民が自分の住む地域などが警報や注意報の対象かどうかを早く判断できるようになります。