緊急通報のみ可能なローミング提供方式も2025年度末導入へ、第3次報告書を公表 総務省
掲載:2024年06月24日
リスクマネジメント速報
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通信キャリアの事業者間で回線を乗り入れる「事業者間ローミング」の整備を目指して議論してきた総務省の検討会は6月5日、意見公募を経て決定した第3次報告書を公表しました。検討会の第1次報告書(2022年12月)では、通話とデータ通信および呼び返し(※)も可能な「フルローミング方式」を導入し、開始は2025年度末ごろを見込むと取りまとめられ、第2次報告書(2023年6月)では、コアネットワークに障害が発生した場合を想定し、フルローミング方式ではない「『緊急通報のみ』方式」の導入とそのスケジュールについて検討すると明記されていました。第3次報告書ではこの「『緊急通報のみ』方式」においてもフルローミング方式と同時期である2025年度末ごろを導入目標とすると盛り込まれました。
「『緊急通報のみ』方式」とは、110番、119番、118番といった緊急通報のみを臨時的に発信できるローミング提供方式のことです。通報者は110番など緊急通報を行えますが、通話が切れた際には、緊急通報受理機関による通報者への呼び返しができない方式となります。通信キャリアのコアネットワークに障害が発生し、ユーザー情報のデータベースが使用できない場合を想定しています。
通信キャリアは災害時にWi-Fiサービスの無料開放「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)を行っています。能登半島地震においても新潟県、富山県、石川県および福井県で地震の発生当日から提供されました。ファイブゼロジャパンは2023年9月から運用が変わり、災害時だけでなく大規模な通信障害時にも提供できるようになりました。第3次報告書では、このファイブゼロジャパンについても言及されています。
また、フルローミング方式や「緊急通報のみ」方式が導入された場合でも、対応できない端末および基地局が一部、発生してしまうことや、切り替え操作を手動でする必要があるケース、一部端末では緊急地震速報が使えない可能性があることなどが記されています。
※呼び返しとは、110番、119番、118番の緊急通報をした際に、警察や消防、海上保安庁といった緊急通報受理機関が通報者へ電話をかけなおすこと。呼び返しによって状況を確認したり、助言を行ったりできる。
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