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環境債やグリーンローンなどグリーンファイナンスを促進、2024年版のガイドラインを公表 環境省

掲載:2024年11月27日

リスクマネジメント速報

         
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環境省はこのほど、グリーンファイナンスに関するガイドラインの2024年版を公表しました。グリーンファイナンス市場の国際的な潮流を捉え、国際原則の改訂を反映させるとともに、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)について検討会(※)での議論を踏まえて解説が追記されました。

公表されたガイドラインは、「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン」および「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」です。ただ、両者は一つの文書にまとめられており、付属書1~4、参考資料1~5も加えた文書として公開されています(表紙を含め全248ページ)。ガイドラインの改訂にあたっては意見公募を行い、国内の市場関係者から多く意見が寄せられました。また、国際資本市場協会(ICMA)やローン・マーケット・アソシエーション(LMA)、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)、クライメート・ボンド・イニシアチブ(CBI)といった海外機関にも意見を求めました。

2024年版では、グリーンローン原則(GLP)とサステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)の改訂(2023年2月)、サステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP)の改訂(2024年6月)が反映されました。GLPとSLLPは、APLMAとLMA、ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)が、SLBPはICMAがそれぞれ策定しているガイドラインであり、国際的な基準として一般的に認識されています。

環境省は2017年に最初のグリーンボンドガイドラインを公表しました。市場を形成するため、当時は国際原則との整合性を保ちながら一部において国内向けに独自の構成や解説を織り込んでいました。一方、今回の改定ではそうした構成を変更し、原則部分と解説部分を明確に区分しました。原則部分については国際原則と共通であることがより明確になりました。

ガイドラインは国内のグリーンボンド市場やサステナビリティ・リンク・ボンド市場を健全かつ適切に拡大させていくことと、グリーンローンおよびサステナビリティ・リンク・ローンを国内でさらに普及させることを目的としています。国内企業によるグリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ボンドの発行実績、サステナビリティ・リンク・ローンの国内組成額の推移などについては「グリーンファイナンスポータル」(環境省)で図表とともに紹介されており、同サイトによると2023年の国内のグリーンボンドは発行額が前年比160%、発行件数は前年比129%でした。

※グリーンファイナンスに関する検討会

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