国土強靭化「実施中期計画」の早期策定を要望、意見書を手交 日商
掲載:2024年12月12日
リスクマネジメント速報
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日本商工会議所(以下、日商)はこのほど、意見書「国土強靭化の加速化に向けた意見~レジリエントで豊かな『自立・分散・協調』型国土への転換を~」を取りまとめ、内閣官房国土強靭化推進室に手交しました。改正国土強靭化基本法に基づく「実施中期計画」について政府による検討が始まったことを受けて提出しました。各地の商工会議所や事業者から寄せられた意見が反映されています。
意見書は要望とともに、その背景を説明するものとして商工会議所および日商による調査結果や全国各地の事例・声などが併記されています。はじめに国土強靭化に向けた基本的な考え方を示した上で、大きく2つの観点から意見が示されています。
1つは現在進めている「5カ年加速化対策」が2025年度で終了するため、後続の施策となる国土強靭化の実施中期計画について早期の策定を求めるものです。必要な予算・財源を確保し、十分な事業規模・対策を盛り込むことを求めています。計画策定の際には、事前防災の推進によって得られる減災効果を国民に分かりやすく提示し、国民理解の醸成を図る必要があるとしました。
もうひとつは、インフラ整備がもたらす効果を産業・まちづくり政策との連動によって最大化させ、国土強靭化の加速化を求めるものです。防災・減災、復旧・復興を主な目的とする国土強靭化ですが、人口流出が続く地域などではインフラ整備が新たな需要創出や民間投資の拡大に寄与するため、国土強靭化政策は産業・まちづくり政策と連動した取り組みであるよう要望しました。
インフラ整備による産業面の効果が表れた事例として、「地域高規格道路」(※)を整備したことによって港へのアクセスが向上し企業立地が急増したという宮崎県都城市を紹介しています。道路が開通した2011年以降、114社の企業進出があり約3,300人の新規雇用が創出されたほか、農産品出荷額も増加したと記されています。まちづくり政策に連動するものとしては、地域・地区防災計画や事前復興計画などにおいて行政が民間を巻き込んで策定することへの支援、まちの賑わい空間の創出にもつながる防災公園の整備といったことなどを要望項目にあげています。
※自動車専用道路もしくはこれと同等の高い規格を有し、時速60~80kmの高速サービスを提供できる道路のこと。高規格幹線道路(高速道路など)と一体となって地域相互の交流や空港・港湾への連絡を強化する目的で整備される。
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