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重要物資の調達先や供給先は多様化を、令和6年版「通商白書」を公開 経産省

掲載:2024年07月19日

リスクマネジメント速報

         
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経済産業省は7月9日、令和6年版の「通商白書」を公開しました。世界経済のブロック化が進み、世界の分断や対立が懸念される中、ルールベースの自由な国際貿易秩序の再構築が急務だと提言しています。

世界経済は、経済的な依存関係を悪用した威圧行為とみなされる事案や、自国中心主義的な産業政策の動きなどがみられます。このため白書では、ルールベースの国際貿易秩序を再構築する▽強靱で持続可能なサプライチェーンの構築によって途絶リスクに備える▽産業面を中心にグローバル・サウス諸国を含めた各国との互恵的な関係を構築するとともに新たな市場を開拓する――とした対応の方向性について、一体的に取り組むことが必要だと提言しました。

白書概要資料には、特定の国への過度な依存によるリスクは顕在化していると記載。白書では、日本がG7(主要7か国)全体や米国、ドイツと比較しても特定の国への輸入集中度が高いことを、データを示しながら紹介しました。このため、経済安全保障の観点も踏まえ、重要物資の調達や供給においてデリスキング(リスクの低減)や多様化を図ることが重要としました。

また、近年の円安方向への動きは、輸出を新たに始める観点からは好機と指摘。輸出競争力の強化が課題だとして間接輸出企業の新規海外展開や、グローバルな競争に勝ち抜ける企業の育成が重要だと強調しました。間接輸出企業については、日本の製造業の8割を占めると紹介されています。

白書は3部構成で、第Ⅰ部では地域差が見られる世界経済の回復と我が国企業への影響、第Ⅱ部ではグローバルな構造変化の中で我が国に求められる対応についてそれぞれ分析し、政府の取り組みについては第Ⅲ部にまとめられています。