サステナビリティ基準委員会(SSBJ)事務局は11月28日、「SSBJハンドブック」として新たに3点の文書を公表しました。SSBJハンドブックは、SSBJ基準を適用する際の解説書です。SSBJに寄せられた質問のうち、特に関係者のニーズが高い項目を順次取りまとめています。
今回、新たに公開された文書タイトルは以下の通りです。
- 「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」の取扱い
- 資産及び負債の帳簿価額に重要性がある影響を与える重大なリスク
- スコープ3温室効果ガス排出の測定におけるサンプリングの考え方
このうち、「スコープ3温室効果ガス排出の測定におけるサンプリングの考え方」では、SSBJ基準の第47項において開示が求められている生成した温室効果ガス排出の絶対総量(※)について、「スコープ3温室効果ガス排出」の測定でサンプリングを用いる場合の参考情報が提供されています。
SSBJ基準では、温室効果ガスの排出量を測定する際、「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)(以下『GHGプロトコル(2004年)』)」に従って測定しなければならないと定めています。SSBJハンドブックでは、「GHGプロトコル(2004年)」に従い、スコープ3温室効果ガス排出の測定を行う場合は、「温室効果ガスプロトコルのスコープ3排出量の算定技術ガイダンス」を参考にすることが考えられるとして、ガイダンスを基にした見解を示しました。
まず、ガイダンス記載のカテゴリーに沿って、測定にサンプリングを用いることができるケースを提示しています。①報告企業がすべての購入物品(カテゴリー1)の全サプライヤーからデータを収集することが現実的でない場合、②多数の流通経路を持つ企業が、輸送および流通(カテゴリー4および9)に関する排出量の算定時に用いる場合、③全従業員から出張(カテゴリー6)データを収集することが現実的でなく、従業員代表のサンプルデータをすべての従業員の出張の概算に利用できる場合、など5つのケースについて具体例が示されています。
また、測定時、企業が個々の排出活動を適切に反映できる場合には、様々なサンプリング手法の選択が可能であるとして、3つのサンプリング手法の例(単純無作為抽出/系統抽出/層化抽出)と、それぞれの留意点を掲載しています。なお、サンプリング手法はこの3つに限らないとしています。
このほか、具体的な数値を用いた計算例などが掲載されており、関連するSSBJハンドブックとして「スコープ3温室効果ガス排出の測定方法及び開示」も挙げられています。
(※)SSBJ基準の第47項では、温室効果ガス排出量について3つの区分(スコープ1・2・3)での開示を求めています。