サステナビリティ基準委員会(SSBJ)事務局は6月末、新たに「SSBJハンドブック」として9点の文書を公表しました。SSBJがSSBJ基準を今年3月に発表して以来、SSBJ事務局はSSBJ基準の適用に関する参考情報を「SSBJハンドブック」として毎月月末に提供しています(7月24日現在)。
新たに公開されたのは①合理的で裏付け可能な情報②事後的判断の使用を伴うかどうかの判断③SSBJ基準のすべての定めに準拠していない場合の開示④SSBJ基準を適用する最初の年次報告期間における「過去の報告期間に開示した計画に対する進捗」の開示の要否⑤スコープ2温室効果ガス排出の測定に用いる排出係数⑥契約証書に関する情報⑦測定アプローチ別の温室効果ガス排出の集計範囲⑧温室効果ガス排出の測定に用いる排出係数⑨温室効果ガス排出の測定にあたりサステナビリティ関連財務開示の報告期間と異なる算定期間の情報を使用することができる特定の状況――と題された文書です。
SSBJハンドブックはSSBJの審議を経ずに公表される文書です。SSBJ事務局が「SSBJ基準を利用する際の便宜を考慮」して作成する解説資料との位置づけです。SSBJに寄せられた質問のうち、関係者のニーズが高いものから優先して作成されています。
今般公表された文書のうち「合理的で裏付け可能な情報」では、適用基準第32項「サステナビリティ開示基準において、合理的で裏付け可能な情報を用いることを求めている場合、当該定めに従わなければならない。」について解説しています。ここでいう「合理的で裏付け可能な情報」とは具体的にどのような情報なのか、また、どのような項目に「合理的で裏付け可能な情報」を用いることが求められているのか。これらの点について理解が進むことを目的としています。
具体的には、SSBJ基準では、高度な判断を要し、測定の不確実性を伴うなどの特定項目に関して「合理的で裏付け可能な情報」を用いることを求めていると記されています。そして「合理的で裏付け可能な情報」とは、「報告期間の末日において企業が過大なコストや労力をかけずに利用可能な、すべての合理的で裏付け可能な情報」をいうと記されています。
この文書では、「なぜ合理的で裏付け可能な情報を用いることが求められているのか」や「何が合理的で裏付け可能な情報であるかを判断するにあたっての留意点」といったことにも言及しています。例えば「過大なコストや労力をかけずに利用可能である」という文言について、「企業が既に有している情報のみを用いればよいということを意味するものではありません」などと記しています。
公表済みのSSBJハンドブックはすべて公式サイトに一覧で掲載されています。